習慣

習慣は万人向けではない|決めたことを実行したい人の最良の道具

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習慣を身につけようとして、数日で自然消滅してしまった。これから習慣を作りたいけれど、何から始めればよいか分からない。やめたい行動があるのに、気づいたら繰り返してしまっている。

こうした経験があると、「自分は意志が弱いのかもしれない」と感じることがあるかもしれません。

しかし、うまくいかないのは、意志が弱いからではありません。習慣は、同じ行動を繰り返し実行するための「道具」です。道具である以上、自分に向いているか、使い方が合っているかで、結果が変わってきます。

この「習慣」という道具は、万人向けではありません。ただ、「自分で決めたことを、その通りに実行できる自分でありたい」と思う人にとっては、最良の道具となり得ます。

この記事では、習慣を「決めたことを実行する道具」として捉え直し、なぜ習慣は最良の道具と言えるのか、習慣は何に向いていて何に向いていないのか、どうやって使いこなせばいいのかまで、まるっと解説します。

この記事で分かること
  • 習慣が向いている人と、向かない人
  • 習慣が、決めたことを実行するための最良の道具だと言える理由
  • 習慣が続かない理由と、悪い習慣がやめられない理由
  • 習慣を使いこなす3ステップ

この記事を読むと、自分に習慣が必要かどうか、何をどう習慣にすればよいか、自分の言葉で判断できるようになります。

自分で決めたことをやり通したい人、目的に向かって行動を積み重ねたい人は、ぜひ最後までお読みください。

それでは、行ってみましょう!

習慣は、「決めたことを実行する」ための道具

習慣と聞くと、「身につけると良いもの」というイメージがあるかもしれません。ですが、習慣はそれ自体が良いものでも悪いものでもなく、使う人の目的に応じて態度を変える道具です。運動を続ける助けにもなれば、夜更かしでスマホを見続ける原因にもなります。同じ仕組みが、望む行動にも、望まない行動にも働きます。

習慣とは、場面と行動の結びつき

この記事で言う習慣とは、決まった場面と行動が結びつき、考えなくても行動が始まる状態のことです。(*1)

たとえば、歯磨きのあとにフロスを使う、帰宅したら手を洗う。このような行動は、毎回「やろう」と決めなくても、場面に出会うと自然に発生します。

歯磨きやフロスなど、場面の後に行動が続くイメージ
場面の後に、行動が続く

習慣には、気づかないうちに身についたものと、自分で意図して作るものがあります。ソファに座ると、つい手がスマホに伸びる。これは前者の例です。朝食を終えたら散歩に出かける、と決めて繰り返すのは後者の例です。この記事では、主に後者、つまり自分で決めた行動を習慣にすることを扱います。

自分で意図して作る習慣は、「どの場面で、何をするか」を決めて、実行しやすい形に整えることが必要です。この作業を「設計」と呼ぶことにします。

習慣が担うのは「実行」であり、「決定」ではない

習慣が助けてくれるのは、決めたことを、毎回の判断なしに実行することです。何を習慣にするのか、なぜそれをするのか、今もそれを続けたいのか。これらを決めるのは、習慣ではなく自分です。「やろうとする意図」と「習慣」は、それぞれ別々の要因だとされています。(*2)

朝のランニングを例に考えてみましょう。「毎朝走る」と決めるのは自分です。走る場面と手順を整えて繰り返すと、やがて、起きて着替えて、走り出すという流れが自動で始まるようになります。ここで習慣が担っているのは、走り出す部分だけです。走ることが今の自分に必要かどうかを、習慣が考えてくれるわけではありません。

この区別は重要です。「決める」仕事まで習慣に任せてしまうと、もう今の自分には必要なくなった行動まで、惰性で続けてしまうからです。習慣は、決めたあとに働く道具だと、ここでは覚えてもらえればokです。

そして、だからこそ習慣は、万人向けではありません。毎回の状況に応じて、その都度判断したい人にとっては、判断を省く道具=習慣は、必ずしもマッチしません。習慣が力を発揮するのは、決めたことを、その通りに実行したいときです。

習慣が向いている人、向かない人

習慣は、判断を省いて、決めたことを実行する道具です。なので、向いているのは、「決めたことを実行したい」と思う人です。具体的には、次のような人です。

向いている人の3つの特徴

① 決めたことを、周りに流されず、その通りに実行できる自分でありたい人

今日は疲れているから、急な予定が入ったから、周りがそうしているから。その時々の事情で、決めたことが後回しになることがあります。そうした事情に左右されず、決めたことを決めた通りにやり遂げたい。そういう思いが強い人ほど、実行を支える道具の価値が高まります。

② そういう自分でいることに、幸せを感じる人

決めたことをやり遂げたとき、「自分で決めた通りに動けた」という手応えがうれしい。結果そのものよりも、その積み重ねに満足を感じる人です。習慣は、日々の中でそうした手応えを繰り返し得られる土台になります。

③ 目的や目標に向かって進みたい人

資格試験の合格、体づくり、作品づくり。叶えたい目的があり、そこへ向かう行動を、日々の中で確実に積み上げたい人です。目的を達成するには、大抵の場合決めた行動を一度きりでなく、繰り返す必要があります。習慣は、この繰り返しを支えてくれます。

3つとも当てはまる必要はありません。どれか1つでも強く当てはまるなら、習慣を試す価値はあります。

習慣が向かない人と場面

向き不向きは、優劣ではありません。習慣を身につけている人が優れているわけでも、そうでない人が劣っているわけでもありません。判断を省く道具なので、次のような人や場面では、他の選択肢のほうが合うことがあります。

習慣が向かない人
  • 毎回の状況を見て、その都度柔軟に判断することに価値を置く人
  • 決めたいことが、まだ定まっていない人
  • 決まった型で動くことに、窮屈さを感じる人
習慣が向かない場面
  • 実行する機会が少ない行動
  • 毎回の状況が大きく変わる行動
  • 実行時の状況によって、選択を変える必要がある行動

実行の機会が少なければ、場面と行動の結びつきを作る機会も少なくなります。場面が安定しなければ、結びつける場面が定まりません。(*3)(*2)そして、判断が必要な行動は、判断を省く道具とは相性がよくありません。

代わりの選択肢
  • カレンダーに予定として入れる
  • 判断の軸を先に決めておく(「迷ったら、これを優先する」など)
  • 誰かと約束して、実行の場を作る

向いている人であっても、すべての行動を習慣にする必要はありません。

なぜ習慣は、実行のための最良の道具なのか

決めたことを実行する方法は、習慣以外にもいろいろあります。意志の力で毎回やり切ること、人との約束で自分を縛ること、環境を整えて手間を減らすことなどです。どれも役に立つ方法です。

そのなかで、なぜ習慣が最良の道具と言えるのでしょうか。理由は3つあります。いずれも、習慣が「決めたことを、毎回の判断なしに実行する」という性質から生まれるものです。

理由① 気分や迷いに左右されず、行動が始まる

習慣が形づくられると、その場面に出会ったときに、行動が起こりやすくなります。(*1)(*4)

たとえば、朝食後に散歩すると決めて、同じ流れを繰り返したとします。やがて「朝食を終えた」という場面が、歩き始める合図になります。

習慣がない場合は、朝食を終えるたびに、「今日は歩こうか、どうしようか」と考えることになります。天気が悪い、少し疲れている、時間がないかもしれない。考えるほど、やらない理由は見つかるものです。習慣があれば、この「考える」部分が小さくなるので、気分や迷いが入り込む余地も小さくなります。

玄関で外の空を見上げ、散歩に出るか迷っている後ろ姿
毎回判断を挟むと、迷う

決めた行動を実行するうえで、手間がかかるのは、始める瞬間であることが多いものです。習慣は、その最初の一歩を、場面に一任できる仕組みです。

理由② 繰り返すほど、実行の負担が減る

同じような場面で行動を繰り返すほど、考えなくても動ける度合い(自動性)が高まります。(*3)(*4)繰り返す機会が多く、手順が単純な行動ほど、習慣が行動に結びつきやすい傾向もあります。(*2)

最初は、「やろう」と意識しないと動けません。けれど、続けるうちに、意識する量が減り、実行の負担が軽くなっていきます。道具が、使い込むほど手になじむのに似ています。

たとえば、読書を続けたいなら、「時間ができたら読む」ではなく、「就寝前にベッド脇の本を開く」と決めます。場面を具体的に決めると、行動のきっかけができ、毎回同じ流れで繰り返しやすくなります。

就寝前、ベッド脇の机に置いた本とランプ
ベッド脇の本が、読書の合図に

理由③ 日常に組み込めるので、目的への歩みが途切れにくい

目的を決めただけで、そのための日々の行動が実行できるとは限りません。「体重を落とす」という目的を、「夕食後に10分歩く」という今日の行動まで具体化して、初めて実際に目的のために行動できます。

夕食を終えて食器を片付けたら、そのまま玄関へ向かうという普段の流れが、歩き始める合図になります。まず5分だけ歩いて、時間や体調に余裕があれば続ける形にすれば、日によって使える時間に違いがあっても、目的へ向かう行動は、生活の中に置き続けられます。

目的を決めることと、それを日々の行動に落とすことは、別の仕事です。習慣は、後者を担い、目的に向かうための実際の行動を支えます。(*1)

他の方法と比べても、習慣が最良と言える理由

決めたことを実行する方法は、習慣のほかにもあります。代表的なのは、意志の力で毎回やること、人との約束です。「毎日、ひとりで、決めたことを実行する」という場面で、比べてみます。

手段実感としての特徴
意志その日の気分や疲れに左右される。毎回「やる/やらない」を判断する必要がある
人との約束強力だが、相手や場がなければ働かない。ひとりで決めたことには使いにくい
習慣場面と結びつけば、ひとりで、毎日、判断を挟まずに始まる

意志は、新しいことを決めるときや、状況に応じて判断を変えるときに欠かせません。人との約束は、誰かと一緒だと続きやすい人にとって、強力な手段です。それぞれに良さがあります。

ただ、「毎日、ひとりで、判断を挟まずに実行する」という点においては、習慣の良さが際立ちます。一度、場面と行動が結びつけば、その日の気分や、一緒にやってくれる相手の有無に左右されにくく、行動が始まるからです。

習慣は、決めたことを、ひとりで、実行する、という文脈において、特に有用です。

最良の道具にも、代償がある

どんな道具にも、使いづらい面があります。習慣の場合は、主に3つです。これらは、習慣が向いている人にこそ知っておいてほしい点です。

新しい習慣は、身につくまで続きにくい

習慣は、同じような場面で繰り返すうちに、考えなくても動けるようになります。裏を返せば、新しく始める行動には、場面との結びつきがまだありません。(*1)

結びつきができるまでの間は、毎回自分で「やろう」と思い出し、動かす必要があります。この期間は、忙しい日や気が乗らない日の影響をまともに受けるので、途切れやすくなります。しかも、自動で動くようになるまでの時間は、行動や人によって大きく違います。(*4)行動が複雑だったり、実行する場面が毎回違ったりすると、自動性が低くなる傾向にあります。ただし、場面が安定していれば、複雑な行動でも自動性は高まりやすくなります。(*3)

つまり、習慣が続かないのは、意志が弱いからとは限りません。結びつきを作っている途中の、不安定な時期にいるだけ、ということがあります。

やめたい習慣は、目的が変わっても残る

新しい習慣とは逆のことが、やめたい習慣では起きています。やめたい行動は、長い間同じ場面で繰り返されてきたため、場面との結びつきがすでに強くできています。その場面になると、考える前に行動が始まります。

しかも、この結びつきには「今の自分の望みに合っているか」と改めて考えるタイミングを挟み込む余地がありません。目的が変わっても、やめたいと思うようになっても、その場面になったら反応は起きます。

これに関連する分かりやすい研究として、映画館で食べるポップコーンの実験というのがあります。映画館で食べる習慣が強い人は、古くておいしくないポップコーンでも、新鮮なものと同じ量を食べる傾向にあるそうです。(*5)味ではなく「映画館にいる」という場面が、食べる行動を引き出していたという有名な例です。

映画館の座席で、ポップコーンのカップを手にしている様子
場面が行動を引き出す

日常にも似たことがあります。朝目覚めると枕元のスマホを手に取り、SNSチェックをするのが日常になっている人がいたとします。朝の時間を別のことに使いたいと思うようになっても、目が覚めると、手が勝手にスマホへ伸びる。今の望みとは関係なく、毎朝の時間が消えていきます。気づかないうちに身についてしまった習慣も、同じ仕組みです。

問題は、続けること自体ではありません。続けるかどうかを考え直すタイミングのないまま、時間や労力が使われ続けることです。「決めたことを実行する道具」の性質が、裏目に出る場面だと言えます。

意志で抑え込もうとすると、この反応と毎回正面からぶつかることになります。習慣は、そのときの動機にあまり左右されないため、「やめよう」と思うだけでは、習慣そのものには届きにくいとされています。(*5)(*6)疲れている日などには、さらに崩れやすくなることもあります。やめたい習慣に対しては、意志で耐えるよりも、きっかけとなる場面そのものを変えるほうが、切り替わりやすくなる可能性があります。(*7)(*6)

続いていると、「今も望んでいる」と思い込みやすい

私たちは、自分が何を望んでいるかを、自分の行動から推測することがあります。「毎日やっているのだから、好きなのだろう」「続けているのだから、必要なのだろう」といった具合です。人には、行動の頻度から、その行動を自分が意図していると判断する傾向があります。(*1)

ところが習慣は、望んでいなくても、同じ行動を繰り返させます。つまり、「続いている」という事実は、本人の望みとは関係なく作られてしまうのです。それを望みの証拠として使うと、判断を誤ります。

たとえば、疲れた夜の息抜きとして、寝る前にゲームを少しだけ遊んでいたとします。最初は、ちょっとした息抜きのつもりでした。ところが、いつの間にか毎晩の習慣になり、息抜きの範囲を超えて、夜更かしの原因になっています。「気が紛れるから、ゲームして夜更かしは自分にとって良いことなのだろう」と無意識に習慣になると、見直すタイミングがなくなります。本当は、睡眠や別のことに使いたい夜の時間かもしれないのに、その可能性に意識は向かなくなります。

もちろん、本当に望んで続けている場合もあります。続いていること自体が、間違いの証拠というわけではありません。ただ、続いているという事実だけでは、望んでいるのか、惰性なのかを区別できなくなってしまう。習慣のデメリットの1つです。

習慣を使いこなす3ステップ

習慣は、決めたことを判断なしに続けてくれる一方で、決めたあとの自分の変化には気づきません。だからこそ、使いこなすには、入口を選び、続きやすい形に設計し、流れが変わったら見直す、という3つのステップが必要です。

3つのステップ
  • 選ぶ:習慣にする行動を、今の目的に照らして決めます。
  • 設計:場面と結びつけ、続けやすい形に整えます。
  • 見直す:目的が変わったら、続けるかどうかを選び直します。
選ぶ・設計・見直し、3つの場面を左から順に並べた図
選ぶ・設計・見直すの3ステップ

1つずつ順に見ていきます。

① 選ぶ:習慣にする行動を見極める

習慣にするかどうかは、行動ごとに決めます。習慣が向いている人であっても、すべての行動を習慣にする必要はありません。迷ったときは、次の3つの問いで考えてみてください。

問い1:この行動は、今の自分の目的に役立つか

役立たない行動を習慣にすると、定着した分だけ、目的に使えたはずの時間や労力を使い続けることになります。「習慣にすること」自体が目標になっているときは、まず、その行動が目的にどう役立つかを考えます。

問い2:この行動を、決まった場面で、繰り返し実行できるか

繰り返す機会が多く、実行する場面が安定している行動ほど、自動性が高い傾向があります。(*3)そのため、実行する場面を具体的に決められる行動は、習慣にしやすいと考えられます。たとえば、「朝食後に10分歩く」は、毎日の場面が決まっています。一方、「気が向いたときに遠出して運動する」は、場面も頻度も定まりません。

問い3:この行動は、毎回同じやり方で実行してよいか

状況によって選択を変える必要がある行動は、判断を省く習慣とは相性がよくありません。その都度考える余地を残したほうがよい行動は、無理に習慣にしないほうが、うまくいきます。

どれかに「いいえ」と答えた行動は、無理に習慣にしなくてかまいません。代わりの選択肢には、カレンダーに予定として入れる、判断の軸を先に決めておく、誰かと約束して実行の場を作る、などがあります。

② 設計:場面と結びつけて定着させる

習慣にすると決めた行動は、「どの場面で、何をするか」を決め、実行しやすい形に整えます。これが「設計」です。設計は、次の3つに分けて考えられます。

  • きっかけを決める:毎日必ず起きる行動(歯磨き、食事、入浴など)の直後に置くと、場面が安定します。
  • 手順を決める:最初の一歩を小さく、迷わない形にします。
  • 環境を整える:実行のハードルを下げる準備をします。

朝のランニングなら、たとえば次のようになります。

  • きっかけ:起きて顔を洗ったら
  • 手順:まず着替える。そのあと、決めたコースを走る
  • 環境:ウェアを枕元に置き、シューズを玄関に出しておく

結びつきができるまでの時期は不安定です。この間は、行動を小さくして、同じ場面で繰り返すことに集中します。一度抜けても、それだけで習慣づくりが台無しになるとは限りません。(*4)

続かないときは、意志を強くする前に、行動の側を調整します。

  • 場面が定まらないなら、毎日必ず起きる行動の直後に置き直す
  • 手順が重いなら、最初の一歩だけに絞る
  • 実行の機会が少ないなら、無理に習慣にせず、別の選択肢に切り替える

③ 見直す:目的が変わったら、選び直す

習慣は、決めた時点の自分の指示を、実行し続けます。目的や生活が変わったときは、続けるかどうかを選び直す必要があります。見直しのタイミングは、転職や引っ越しで生活が変わったとき、目標を達成したとき、そして年度の節目など、あらかじめ決めた時期です。

見直すときは、次の問いを使います。

「今日まっさらな状態だったら、この行動を新しく始めるか。」

「始める」と答えられるなら、続ける理由があります。答えに詰まるなら、形を変えるか、やめるかを考えるタイミングです。形を変えるなら、頻度や時間を調整します。やめるなら、意志で耐えるのではなく、きっかけの場面を変えることを考えます。(*7)(*6)

たとえば、目が覚めると枕元のスマホでSNSを開く習慣をやめたいなら、「目が覚めたら、コップの水を一杯飲む」と、同じ場面に別の行動を置く方法があります。スマホを寝室の外に置く、充電器の場所を変えるといった工夫も、きっかけを変える方法です。いずれも、場面との結びつきを弱め、代わりの行動を結びつけ直す工夫です。(*5)(*6)

決め直すことも、自分で決めることです。決めた通りに実行できる自分でありたい人ほど、決めたことを見直す機会を持っておくと、習慣は長く頼りになる道具であり続けます。

まとめ

習慣は、どんな人、どんな状況に対しても万能ではありません。ですが、「自分で決めたことを、その通りに実行できる自分でありたい」と思う人、そういう状況にとっては、最良の道具です。判断を挟まずに行動を始められるので、気分や迷いに左右されにくく、繰り返すほど実行の負担も軽くなっていきます。

一方で、習慣が実行するのは、決めたことだけです。新しい習慣は身につくまで不安定で、やめたい習慣は目的が変わっても残り、続いているという事実は、今も望んでいる証拠とは限りません。だからこそ、行動を「選び」、場面と結びつけて「設計し」、目的が変わったら「見直す」という使いこなしが必要になります。

まずは、今習慣にしたいと思っている行動を1つ選び、「目的に役立つか」「決まった場面で繰り返せるか」「毎回同じやり方でよいか」の3点から確かめてみてください。すでに続けている習慣があるなら、「今日まっさらな状態だったら、この行動を新しく始めるか」と問い直してみるのもよいでしょう。

決めたことを実行できる自分でいるために、習慣を、自分の目的に合わせて使いこなしていきましょう。

参考文献

  1. Wood, W., & Rünger, D. (2016). Psychology of habit. Annual Review of Psychology, 67, 289–314.
  2. Hagger, M. S., Hamilton, K., Phipps, D. J., Protogerou, C., Zhang, C.-Q., Girelli, L., Mallia, L., & Lucidi, F. (2023). Effects of habit and intention on behavior: Meta-analysis and test of key moderators. Motivation Science, 9(2), 73–94.
  3. McCloskey, K., & Johnson, B. T. (2019). Habits, quick and easy: Perceived complexity moderates the associations of contextual stability and rewards with behavioral automaticity. Frontiers in Psychology, 10, Article 1556.
  4. Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
  5. Neal, D. T., Wood, W., Wu, M., & Kurlander, D. (2011). The pull of the past: When do habits persist despite conflict with motives? Personality and Social Psychology Bulletin, 37(11), 1428–1437.
  6. Wood, W. (2024). Habits, goals, and effective behavior change. Current Directions in Psychological Science, 33(4), 226–232.
  7. Bouton, M. E. (2021). Context, attention, and the switch between habit and goal-direction in behavior. Learning & Behavior, 49(4), 349–362.