けうzenです。
今回は時間管理術の一つ「タイムブロッキング」を紹介します。
(今日はいったい何が進んだんだろう…)。ToDoリストは作ったのに、メールやチャット対応などに追われて、重要なタスクは後回しのまま気づけば夕方。焦って重要タスクに取りかかるも、疲れて集中できない。そんな悪循環はどこからくるのか?
それは実は、「何をやるか」は決まっていても「いつやるか」が決まっていないところから来ることが多いです。
自分にとって重要なことが明確になっていても、それを実行する時間が決まっていなければ、日々降ってくるタスクに押し出されていつまで経っても着手できない状態になりやすい。そのことは誰もが納得するところでしょう。
そんな状態を打破するための時間管理術の一つが「タイムブロッキング」です。
タイムブロッキングは、1日を時間枠に区分けして活動要素を割り当てることで、重要なタスクを確実に前に進める時間管理術です。時間を先に確保して、「やれたらやる」のような曖昧な状態から抜け出し、目の前のタスクに集中できる環境を整えます。
この記事では、タイムブロッキングの基本から具体的な組み立て方、成功のポイントまで、実践的な内容を詳しく解説していきます。
タイムブロッキングを取り入れれば、時間の裁量権を少しずつ自分の元に引き寄せていくことができます。裁量権を引き寄せられるとはつまり、他者に振り回される割合を減らしていけるということです。
1日の主導権を取り戻したい方には特に、この記事の内容を注意深く読み込んでいただきたいです。
まずはタイムブロッキングの基本的な考え方から見ていきましょう。
タイムブロッキングとは何か?従来の時間管理との違い
タイムブロッキングとは、1日を時間枠(ブロック)に区分けして、それぞれの時間枠に具体的なタスクを割り当てる時間管理手法です。
タイムブロッキングの基本的な考え方
たとえば「午前9時から10時は企画書作成」「10時から11時は会議」というように、カレンダーやスケジュール帳に具体的な時間枠を設けて、何をいつやるのかを事前に決めておきます。
タイムブロッキングのメリットは、「いつやるか」を明確にすることで実行率を高める点にあります。
やるべきことがあっても「いつやるか」が決まっていなければ、結局先延ばしになってしまいがちです。しかし、時間を先に確保しておけば、その時間になったら自然とタスクに取りかかれるようになります。
タイムブロッキングでは、時間を物理的なリソースとして扱います。お金に予算があるように、時間にも限りがあります。計画的に時間を配分して、重要なことに優先的に時間を投資するという発想がベースになっています。
ToDoリストとの違い
時間管理の鉄板はToDoリストですが、タイムブロッキングとToDoリストには明確な違いがあります。
ToDoリストは「何をやるか」を列挙したリストであり、実行タイミングは曖昧です。「今日やること」「今週やること」といった形でタスクをリストアップしても、具体的にいつやるかは決まっていません。そのため、「時間があればやろう」という状態になりやすく、結局やらずに終わってしまうことが少なくありません。
一方、タイムブロッキングは時間確保を起点にします。1日の行動可能時間をいくつかのブロックに分けて、そこにタスクを放り込むイメージです。
この違いは実行率に大きく影響します。タイムブロッキングでは時間が確保されているため、その時間になれば「やる」という選択肢しかなくなります。ToDoリストのように「後でやろう」と先延ばしする余地がなくなるので、タスク実行率を高めることができます。
なぜ「時間を先に確保する」ことが大事なのか
タイムブロッキングの最も重要な原則は「時間を先に確保する」ことです。
なぜか。
時間を確保しないと、タスクは「やれたらやる」という曖昧な状態を許すことになり、結局実行されないからです。
特に重要だが緊急ではないタスク、たとえば資格の勉強や新規事業の企画など、緊急の用事に押し出されていつまで経っても着手できないという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。この先延ばしループを抜け出すのがタイムブロッキングです。
タイムブロッキングは「パーキンソンの法則」で知られる人間心理の一つを逆手に取った手法でもあります。
イギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソンが1958年に提唱した、仕事は「与えられた時間をすべて使うように広がる」という法則。必要以上に作業が引き延ばされやすく、締め切りが遠いほど効率が下がりやすいという人間の傾向を示している。
タイムブロッキングで時間枠を設定すれば、少なくともその時間は、目の前の着手できなかったタスクに手をつけることができます。今まで後回しになり続けていたことを前に進められるのです。
車は動き出す時に最もエネルギーが要る。全く進められてない状態と、ほんの少しだけど進められた状態、この0と1の違いは大きいです。
タイムブロッキングで生産性が上がる3つの理由
ではなぜ、タイムブロッキングを使うことで生産性が上がるのか?
理由は大きく分けて3つあります。
理由1:マルチタスクを防ぐ
タイムブロッキングの最大のメリットは、マルチタスクを防いでシングルタスクを強制できる点です。
1つの時間枠には1つのタスクだけを割り当てます。たとえば「9時〜10時:企画書作成」と決めたら、その時間は企画書作成だけに集中します。メールチェックも、SNSも、他の作業も一切しません。
なぜこれが重要かというと、マルチタスクは生産性を大きく低下させるからです。複数のタスクを同時並行で進めていると、脳は頻繁にタスクを切り替える必要があり、その都度「切り替えコスト」が発生します。ある研究によれば、マルチタスクは生産性を最大40%も低下させることが分かっています。
理由2:時間の使い方が可視化される
タイムブロッキングでは、1日の時間配分が一目瞭然になります。
どのタスクにどれだけ時間を使ったのか、記録として明確に残ります。「会議に3時間使っていた」「メール返信に1時間半使っていた」といった事実が可視化され、時間の使い方の傾向が見えてきます。
この可視化によって、無駄な時間や非生産的な活動を見つけやすくなります。
さらに、タスクの進行状況も明確になります。2時間のブロックを確保したタスクが時間内に終わらなかった場合、「この時間内に終わる想定だったが、実際には終わらなかった」という事実が残ります。残りは翌日以降に持ち越すことになりますが、こうした経験の積み重ねには、「このタスクには実は3時間必要だった」という学びがあります。次回以降はより正確に時間を見積もれるようになります。
時間の使い方が可視化されることで、自分の改良点を見つけやすくなります。
理由3:重要タスクをブロックできる
生産性が上がるの3つ目の理由は、重要だが緊急ではないタスクを確実に実行できる点です。
時間管理のマトリックスで言えば、重要だが緊急ではないタスク(第2領域)は価値が高いにもかかわらず、後回しにされがちです。

スキルアップのための勉強、長期的な方針決定、新規事業の企画といったタスクは、目の前の緊急タスクに押し出されて永遠に着手できないことがよくあります。
タイムブロッキングでは、こうした重要タスクのために時間を先に確保します。特に効果的なのが、朝一番の集中力が高い時間帯に重要タスクを配置する戦略です。
起床後2〜3時間は脳が最もクリアで創造的なタスクに向いていると言われています。(参考:PubMed Central)
かつ、朝は急な予定や他者からの中断が入りにくく、必然的に集中しやすくなります。また、毎日同じ時間帯に同じタスクをブロックすれば、長期的な成果につながるタスクを習慣化しやすいです。
(この時間帯はコレ)と体が覚えれば、モチベーションに頼らず、重要なタスクを前に進めることができます。
タイムブロッキングが向いている人・向いていない人
ここまで、タイムブロッキングが生産性を高めやすい理由を解説してきましたが、タイムブロッキングも万能ではありません。相性が良くない人もいます。
では、タイムブロッキングはどんな人に向いているのか、またどんな人には向いていないのか?
タイムブロッキングが向いている人の特徴
タイムブロッキングが向いているのは、次のような特徴を持つ人です。
- 複数のプロジェクト・業務を並行して進める必要がある人
- 「今何をすべきか」を都度考えることにエネルギーを使いたくない人
- 自分で時間をコントロールする裁量がある働き方をしている人
まず、複数のプロジェクトや業務を並行して進める必要がある人です。複数の案件を抱えていると、どのプロジェクトにどれだけ時間を使うかが曖昧になりがちです。タイムブロッキングで各プロジェクトに明確に時間を割り当てれば、各プロジェクトをバランスよく進められます。
次に、「今何をすべきか」を都度考えることにエネルギーを使いたくない人に向いています。やるべきタスクが多いと、「次は何をしようか」と迷う度に意思決定が必要になります。タイムブロッキングで行動を時間帯と紐づけておけば、この時間帯はコレをすると決まってるので、意思決定が減り、目の前のタスクに集中しやすくなります。
また、自分で時間をコントロールする裁量がある働き方をしている人にも効果的です。フリーランス、経営者、リモートワーカーなど、自分でスケジュールを組める立場にある人は、タイムブロッキングの恩恵を最大限に受けられます。自由度が高い分、自分で時間を管理しないとダラダラしてしまいがちですが、タイムブロッキングがあれば自律的に動きやすくなるでしょう。
タイムブロッキングが向いていない人の特徴
一方で、タイムブロッキングが合わない人もいます。
- 突発的な対応や顧客対応が多く予定通りに動けない職種の人
- 極度に柔軟性を求められる環境で働いている人
- 計画を立てること自体がストレスになるタイプの人
最も向いていないのは、突発的な対応や顧客対応が多く予定通りに動けない職種の人です。たとえば、コールセンターのオペレーター、接客業、救急医療に携わる人などは、顧客や患者の都合に合わせて動く必要があるため、事前に時間を細かく区切ることが難しいでしょう。
極度に柔軟性を求められる環境で働いている人も、タイムブロッキングとの相性は良くありません。スタートアップの初期メンバーや、危機対応チームのように、状況が刻一刻と変わる環境では、計画通りに動くことは稀でしょう。こうした環境では、タイムブロッキングを厳密に守ろうとするとかえってストレスになる可能性があります。
また、計画を立てること自体がストレスになるタイプの人にも向いていません。性格的に直感やその場のノリで動くことを好む人は、無理にタイムブロッキングを導入する必要はないでしょう。時間管理の手法は人それぞれに合ったものがあり、自分に合わない方法を無理に続けても効果は出にくいものです。
自分に合うかを判断する3つのチェックポイント
タイムブロッキングが自分に合うかどうかを判断するには、次の3つのポイントをチェックしてみましょう。
- 自分の1日のスケジュールをどの程度コントロールできるか
- 計画を立てて実行するスタイルが性格的に合うか
- 1週間試してみて実行率や達成感に変化があるかで判断
1つ目は、自分の1日のスケジュールをどの程度コントロールできるかです。自分で予定を組める裁量が多ければ多いほど、タイムブロッキングは使いやすくなります。逆に、上司や顧客の都合で予定が左右されることが多い場合は、柔軟に対応できる余地を持たせた緩やかなタイムブロッキングから始めるとよいでしょう。
2つ目は、計画を立てて実行するスタイルが性格的に合うかです。「計画通りに進めるのが好き」「達成感を感じやすい」というタイプなら、タイムブロッキングは強力な武器になります。一方、「その日の気分で動きたい」「計画に縛られたくない」というタイプなら、別の時間管理手法を検討したほうがよいかもしれません。
3つ目は、1週間試してみて実行率や達成感に変化があるかを確認することです。理屈で考えるよりも、実際に試してみるのが一番確実です。1週間タイムブロッキングを実践してみて、「タスクの実行率が上がった」「1日の終わりに達成感がある」と感じられたら、あなたに合っている可能性が高いでしょう。
タイムブロッキングの基本ルール
タイムブロッキングを効果的に実践するためには、まず押さえておきたい4つの基本ルールがあります。
時間を区分け
タイムブロッキングの最初のステップは、1日を時間枠(ブロック)に分割することです。
一般的には、30分から2時間程度の時間枠に区切るのが効果的です。あまり短すぎると頻繁に切り替えが発生してしまい、長すぎると集中力が続きません。自分の集中力が持続する時間に合わせて、ブロックの長さを調整しましょう。
たとえば、集中が続きやすい人は90分や2時間のブロックを作り、こまめに休憩を挟んだ方が集中しやすい人は30分や45分の短いブロックから始めるとよいでしょう。ポモドーロテクニック(25分作業+5分休憩)を取り入れて、30分のブロックを複数組み合わせるのも効果的です。
1日の活動要素洗い出し
時間を区分けしたら、次に自分の1日を構成するすべての活動要素を洗い出します。
ここで洗い出すのは、仕事のタスクだけではありません。1日を構成するあらゆる要素を書き出していきます。仕事であれば、進行中のプロジェクト、メール処理、資料作成、会議といった業務が含まれます。
同時に、日常生活の活動も洗い出し対象です。朝食、昼食、夕食といった食事時間、掃除や洗濯などの家事、入浴時間、睡眠時間も、1日を構成する重要な要素です。通勤・移動時間、運動やストレッチの時間、趣味やリラックスの時間など、自分の1日に含めるべきと考える活動要素を洗い出します。
それぞれの活動要素に必要な時間も見積もっておきましょう。「プロジェクトAには2時間」「メール処理には30分」「朝食と準備に1時間」「入浴に30分」というように、具体的な時間を設定していきます。
洗い出した活動要素が、これから時間帯にゾーニングしていく材料になります。
時間帯をゾーニング
プロジェクトやタスクの洗い出しができたら、それらを区分けした時間帯に割り当てる「ゾーニング」を行います。
ゾーニングとは、特定の時間帯を特定のプロジェクトや活動に紐づけることです。たとえば、「午前中はプロジェクトAの時間」「午後2時から4時はプロジェクトBの時間」というように、時間帯ごとに取り組む内容を決めます。
その時間帯はそのプロジェクトに関することだけをする、というルールを設けることで、脳の切り替えコストを減らせます。プロジェクトAの時間中は、プロジェクトAに関連するタスクだけに集中し、他のことは考えません。
プロジェクト単位だけでなく、一括りのタスクでゾーニングすることもできます。「9時から10時はメール処理の時間」「14時から15時は資料作成の時間」というように、似た性質のタスクをまとめて配置すれば、効率よく処理できます。
洗い出したプロジェクトやタスクをカレンダーに配置していきます。朝の集中力が高い時間帯には重要なタスクを、昼過ぎのエネルギーが下がる時間帯には軽めのタスクを配置するといった具合です。
注意点は、1日に詰め込みすぎないこと。予定しているタスクで1日の80%程度を埋め、残りは予定が崩れたとき用のバッファ時間として確保しておくのが理想です。予定崩れがなかった時は、新しいことを始めたり、自分を労わるリフレッシュ時間にするなど、自分時間として活用するのがいいでしょう。
ゾーニング調整
タイムブロッキングは一度設定したら終わりではありません。実行していく中で、継続的に調整していくことが大切です。
数日間タイムブロッキングを実行してみると、「この時間区分けは自分に合っているか」という感覚が見えてきます。たとえば、「午前中の集中タイムは10時から12時より、9時から11時のほうがいいかも」と感じることがあれば、実際に変えて試してみましょう。
キリのいい時間帯区切りも、実行しながら微調整していきます。「2時間のブロックは長すぎて集中が続かない」と感じたら、1時間半や1時間に短くしてみる。「30分では短すぎて作業が中途半端になる」と感じたら、45分や1時間に延ばしてみる。試行錯誤を繰り返して、自分に最適な時間区分けが見えてきます。
プロジェクトの進行に合わせた調整もしていきます。終わったプロジェクトはゾーニングから外して、新しいプロジェクトを入れます。優先順位が変わったら、時間の配分も変えていきます。
週単位や月単位で大きく振り返ることも効果的です。「このゾーニングは機能しているか」定期的に見直すことで、自分にとって最適なタイムブロッキングの形が見えてきます。
タイムブロッキングは、試行錯誤しながら自分に合った形に育てていくもの、という捉え方でいきましょう。
タイムブロッキングの組み立て具体例
ここからは、実際にタイムブロッキングを組み立てていく具体例を紹介していきます。
具体例の人物設定
山田さん(仮名)は、リモートワークで働く30代のマーケターです。複数のプロジェクトを抱えていて、それぞれに優先順位をつけて進める必要があります。しかし、メールやチャットツールでの連絡対応に追われ、気づけば1日が終わっているという状態が続いていました。
特に困っていたのは、重要なプロジェクトに集中して取り組む時間が確保できないこと。「今日こそプロジェクトAを進めよう」と思っても、メールの返信、突発的な問い合わせ、会議などに時間を奪われ、結局夕方になってから焦って取りかかるという悪循環に陥っていました。
また、リモートワークのため仕事とプライベートの境界が曖昧になっていて、起床は7時、就寝は24時という生活リズムで、仕事時間がダラダラと長くなっているのも課題でした。
山田さんは「もっと計画的に時間を使いたい」「重要なタスクを確実に終わらせたい」という思いから、タイムブロッキングを試してみることにしました。
ビフォー:タイムブロッキング導入前の1日
タイムブロッキングを導入する前の山田さんの典型的な1日は、次のようなものでした。
- 7:00 起床・朝食
- 8:30 仕事開始(とりあえずメールチェックから)
- 9:00 メール返信をしていたら会議の時間に
- 10:00 定例会議
- 11:00 メール返信の続き、Slackの通知に気づいて対応
- 11:30 別の通知に対応しているうちに昼に
- 12:00 ランチを取りながらSNSをチェック
- 13:00 資料作成に取りかかる(途中で何度も中断される)
- 15:00 クライアントとの打ち合わせ
- 16:00 気づいたらもう夕方、重要なプロジェクトAに着手できていない
- 16:30 焦ってプロジェクトAに取り組むが、疲れて集中できない
- 18:00 中途半端に終わり、明日に持ち越すことに
- 19:00 夕食
- 20:00 また仕事に戻る(ダラダラと作業)
- 23:00 仕事終了
- 24:00 就寝
この1日の問題点は次のとおり。
まず、重要なプロジェクトAに集中して取り組む時間が確保できていません。夕方になってから焦って着手しても、疲れていて質の高い仕事はできません。
次に、メール・チャットに振り回されています。朝一からメールをチェックするため、他人のアジェンダに時間を奪われています。
また、集中して作業する時間がありません。資料作成も通知に何度も中断され、細切れの集中しかできない時間が多いです。
そして、仕事時間が長いわりに前進感がありません。「今日はいったい何をしてたんだろう」と感じながら1日が終わる状態が続いています。
タイムブロッキングの組み立てプロセス
山田さんは、タイムブロッキングの基本ルールに従って、1日のスケジュールを組み立て直しました。
ステップ1:1日の活動要素洗い出し
まず、自分の1日を構成するすべての活動要素を洗い出しました。
ステップ2:時間を区分け
次に、1日を時間枠(ブロック)に区分けしました。山田さんは自分の集中力が60分程度持続することから、基本的に1〜1.5時間のブロックを中心に組み立てることにしました。
- 8:30-10:30(2時間)
- 10:30-11:00(30分)
- 11:00-12:00(1時間)
- 12:00-13:00(1時間)
- 13:00-14:00(1時間)
- 14:00-15:00(1時間)
- 15:00-16:30(1.5時間)
- 16:30-17:00(30分)
- 17:00-18:00(1時間)
- 18:00-19:00(1時間)
- 19:00-20:00(1時間)
- 20:00-21:00(1時間)
- 21:00-22:30(1.5時間)
- 22:30-23:30(1時間)
- 23:30-24:00(30分)
ステップ3:時間帯をゾーニング
活動要素を時間帯に配置していくために、1日の時間帯の特性を考慮してゾーニングしました。
- 朝(8:30-10:30):集中力が最も高い時間帯 → 重要なプロジェクト
- 午前後半(11:00-12:00):まだ集中力がある → 会議に使える時間
- 昼(12:00-13:00):休憩と食事
- 午後前半(13:00-16:30):集中力が下がる時間帯 → ルーティン作業
- 午後後半(16:30-19:00):回復してきた集中力 → 作業とプロジェクト
- 終業後(19:00-24:00):日常生活とプライベート時間
ステップ4:活動要素を配置
ゾーニングした時間帯に、洗い出した活動要素を実際に配置していきました。
最優先したのは、プロジェクトAを朝の集中時間に配置することです。これまで夕方に回していた重要タスクを、最もエネルギーが高い朝一番に持ってきました。
メール処理とSlack対応は、午後の集中力が下がる時間帯にまとめて配置しました。朝一番にメールを見ない、というルールも設定しました。
また、バッファ時間として16:30-17:00、18:00-19:00を確保し、予定が押した時の調整時間・フレックス枠としました。
アフター:タイムブロッキング導入後の1日
タイムブロッキングを導入した後の山田さんの1日は、次のように変わりました。
- 7:00 起床・朝食・準備
- 8:30 【集中ブロック】プロジェクトA(2時間確保) ※メール・Slackは見ない、通知オフ
- 10:30 【休憩ブロック】コーヒー・軽いストレッチ
- 11:00 【会議ブロック】定例会議
- 12:00 【昼食ブロック】ランチ・リラックス・家事
- 13:00 【ルーティンブロック】メール処理・Slack対応(まとめて処理)
- 14:00 【会議ブロック】クライアント打ち合わせ
- 15:00 【作業ブロック】資料作成(集中して一気に仕上げる)
- 16:30 【バッファ時間】予備・調整・予定のズレに対応
- 17:00 【プロジェクトB】来月のイベント準備
- 18:00 【バッファ時間】フレックス枠
- 19:00 業務終了/夕食
- 20:00 家事
- 21:00 自由時間(読書・趣味)
- 22:30 入浴・リラックス
- 23:30 明日の準備
- 24:00 就寝
この変化によって、山田さんは次のような効果を実感しました。
まず、重要なプロジェクトAに朝一番で取り組めるようになりました。頭がクリアな状態で集中して作業できるため、2時間で驚くほど進捗します。これまで夕方に焦って取り組んでいた時の3倍以上の成果が出ると感じています。
メールに振り回されなくなりました。朝一番にメールを見ないだけで、自分のペースで1日を始められるようになりました。メール処理の時間を午後にまとめたことで、返信も効率的に処理できています。
1日の終わりに前進感があります。重要なタスクを午前中に終わらせているため、「今日はやり切った」という満足感を持って仕事を終えられるようになりました。
仕事とプライベートのメリハリがつきました。18時で業務を終了すると決めたことで、ダラダラと夜遅くまで働くことがなくなり、自由時間も楽しめるようになりました。
タイムブロッキング成功のポイント
山田さんの実例から学べるタイムブロッキング成功のポイントをまとめます。
ポイント1:重要タスクは朝の集中時間に配置する
最もエネルギーが高い朝の時間帯に、最も重要なタスクを持ってくることが鉄則です。夕方に回すと、疲れて質の低い仕事になってしまいます。
ポイント2:メール処理は時間を区切る
メールは見始めると際限なく時間を奪われます。時間を区切って、その時間内だけで処理すると決めることで、効率が上がります。
ポイント3:バッファ時間を必ず確保する
予定通りに進むことはまずありません。会議が延びたり、作業が予想以上に時間がかかったりします。バッファ時間があれば、予定が崩れても焦らず調整できます。
ポイント4:試行錯誤する
最初から完璧なタイムブロッキングを作る必要はありません。山田さんも、最初の1週間は時間配分がうまくいかず、何度も調整しました。数日試してみて、「この時間枠は長すぎる」「この配置は合わない」と感じたら、柔軟に変えていくことが大切です。
ポイント5:自分の生活リズムに合わせる
この実例は山田さんに合った形ですが、すべての人に当てはまるわけではありません。朝型の人もいれば夜型の人もいます。自分のエネルギーカーブを把握して、自分に最適な形にカスタマイズすることが成功の鍵です。
タイムブロッキングは、あなたの働き方と生活を変える強力なツールです。この具体例を参考に、ぜひ自分だけのタイムブロッキングを作ってみてください。
タイムブロッキングにおすすめのツール・アプリ
デジタル派におすすめのカレンダーアプリ
タイムブロッキングを実践する上で、デジタルツールは強力な味方になります。特にカレンダーアプリは、相性抜群です。
Googleカレンダー
おすすめ1つ目は、Googleカレンダーです。
無料で使えて、シンプルで直感的な操作性が魅力です。タイムブロックの作成、編集、移動がドラッグ&ドロップで簡単にでき、色分け機能を使えばプロジェクトやタスクの種類を視覚的に管理できます。スマートフォン、タブレット、パソコンのすべてで同期されるため、どこからでもアクセスできるのも便利です。
また、他のツールとの連携性が非常に高いのもGoogleカレンダーの強みです。タスク管理ツール、プロジェクト管理ツール、メールなど、様々なサービスと連携できるため、すべての予定を一元管理できます。Gmailと連動して会議の予定を自動で追加したり、ZoomやGoogle Meetのリンクを自動生成したりする機能も便利です。
Notion
おすすめ2つ目は、Notionです。
Notionはカレンダー機能とタスク管理を統合して一元管理できる点が特徴です。タスクをデータベースとして管理し、それをカレンダービューで表示できるため、タスクの詳細情報とスケジュールを同時に把握できます。
Notionの良さは、柔軟なカスタマイズ性にあります。自分の働き方に合わせて、タイムブロッキング用のテンプレートを作成できます。プロジェクト管理、メモ、ドキュメント作成など、すべてをNotion内で完結できるため、ツールを行き来する手間が省けます。
その他にも、タイムブロッキングに特化したアプリも存在します。たとえば「TimeBloc」のような専用アプリは、タイムブロックの作成に特化した機能を持ち、より直感的にタイムブロッキングを実践できるよう設計されています。
デジタルツールを選ぶ際は、まずGoogleカレンダーから始めるのが無難です。基本機能は十分揃っていますし、無料で使えるため、タイムブロッキングがどういうものかを体験するには最適です。慣れてきたら、自分のニーズに合わせて他のツールを検討していくといいでしょう。
アナログ派におすすめの手帳・ノート術
デジタルツールが主流の時代ですが、アナログの手帳やノートでタイムブロッキングを実践する方法も効果的です。手書きには、脳への定着が良い、画面から離れられる、自由度が高いといったメリットがあります。
タイムブロッキングに最適なのは、バーティカル手帳(縦軸が時間になっている手帳)です。
1日の時間が縦に並んでいるため、視覚的に時間の流れを把握しやすく、時間枠にタスクを書き込むのが簡単です。朝6時から夜10時まで1時間刻みで時間軸が印刷されている手帳を選べば、そのまま時間枠を塗りつぶしてタイムブロックを作成できます。
バーティカル手帳を選ぶ際は、1日のページが見開きで大きく取られているものがおすすめです。書き込むスペースが広ければ、タスクの詳細や気づきをメモすることもできます。週間バーティカルタイプなら、1週間の流れを俯瞰できるため、週単位での計画も立てやすくなります。
方眼ノートを使って自分で時間軸を書く方法も柔軟性が高くおすすめです。方眼ノートなら、自分の生活リズムに合わせて自由に時間軸を設定できます。朝5時から始める人もいれば、昼から始める人もいるでしょう。自分専用のフォーマットを作れるのが、方眼ノートの魅力です。
色分けでタスクの種類を視覚的に管理する方法も効果的です。たとえば、青色はプロジェクトA、赤色はプロジェクトB、緑色はルーティンタスク、黄色は会議というように、色分けルールを決めて蛍光ペンやカラーペンで塗り分けます。カレンダーを見たときに、どのプロジェクトにどれだけ時間を使っているかが一目瞭然になります。
アナログの良さは、書くという行為自体が思考を整理し、記憶に定着させる点にあります。デジタルの便利さも捨てがたいですが、手書きの感覚が好きな人は、ぜひアナログでのタイムブロッキングを試してみてください。
ツール選びで重視すべき3つのポイント
タイムブロッキングのツールを選ぶ際、重視すべきポイントは3つあります。
- シンプルで継続しやすいUIかどうか
- 他のツールとの連携性
- 通知機能やリマインダーが充実しているか
1つ目は、シンプルで継続しやすいUIかどうかです。どんなに高機能でも、使い方が複雑だと続きません。タイムブロッキングは毎日行うものなので、直感的に操作でき、ストレスなく使えることが最重要です。多機能よりも、必要な機能がシンプルに使えるツールを選びましょう。
無料トライアルがあれば、まず使ってみることをおすすめします。実際に1週間使ってみて、「毎日開きたくなるか」「使っていて楽しいか」を基準に判断しましょう。見た目が好みでない、操作が面倒だと感じたら、他のツールを試すべきです。
2つ目は、他のツールとの連携性です。現代の仕事では、メール、タスク管理ツール、プロジェクト管理ツール、ビデオ会議ツールなど、複数のツールを使うのが一般的です。カレンダーアプリがこれらのツールと連携できれば、情報の一元管理が可能になり、効率が大幅に上がります。
たとえば、タスク管理ツールのTrelloやAsanaと連携できれば、タスクを自動でカレンダーに反映できます。Slackと連携すれば、予定の通知をSlackで受け取れます。このような連携機能があるかどうかを確認しましょう。
3つ目は、通知機能やリマインダーが充実しているかです。タイムブロッキングは計画を立てるだけでなく、実行することが大切です。予定の時間になったら通知してくれる機能、5分前にリマインドしてくれる機能があれば、タスクへの着手を促してくれます。
デジタルツールなら、プッシュ通知機能が充実しているかをチェックしましょう。アナログ派の場合は、スマートフォンのアラーム機能と併用するのも有効です。
ツール選びで迷ったら、まずは無料で始められるGoogleカレンダーやシンプルなバーティカル手帳から始めましょう。タイムブロッキングに慣れてきて、「もっとこういう機能がほしい」という具体的なニーズが見えてきたら、より専門的なツールに移行すればよいのです。
最適なツールは人それぞれです。自分の働き方、性格、好みに合ったツールを見つけることが、タイムブロッキングを長く続ける秘訣です。
まとめ
タイムブロッキングは、1日を時間枠に区分けして活動要素を割り当てることで、生産性を飛躍的に高める時間管理術です。
- タイムブロッキングの特徴
- ToDoリストと違い「いつ・何を・どれくらいの時間でやるか」を明確化
- 時間を先に確保することで重要タスクの後回しを防ぐ
- 行動を時間帯と紐づけて意思決定疲労を減らす
- 4つの基本ルール
- 1日を30分〜2時間程度の時間枠に区分けする
- 仕事も生活もすべての活動要素を洗い出す
- 時間帯にプロジェクトや活動を割り当てる(ゾーニング)
- 数日間実行して感覚的に調整していく
- 成功のポイント
- 重要タスクは朝の集中時間に配置する
- メール処理は時間を区切ってまとめて処理
- バッファ時間を必ず確保する(1日の80%程度を予定で埋める)
- 完璧を目指さず試行錯誤しながら調整していく
- 自分の生活リズムに合わせてカスタマイズする
タイムブロッキングは、あなたの働き方と生活を変える強力なツールです。まずは1週間試してみて、自分に合うかを確かめてみてください。
重要なタスクを確実に実行し、1日の終わりに達成感を感じられる、そんなポジティブな毎日の足掛かりとなるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


