こんにちは、けうzenです。
先日、下記のようなツイートをしました。
ここ数日、AIの進化は私たちの生活にどう影響してくるのか、と考えていました。
— けうzen@習慣系Blogger (@keuzen_) December 2, 2024
パッと思いついたことは、おすすめ機能が加速して、だらだらコンテンツを消費する満足度の低い時間が増えてしまうのかな〜ということ。
今日に満足するために、AIに飼い慣らされず、乗りこなす工夫が必要そうです。
OpenAIに代表されるAI技術の進展は、たった2、3年で世界を大きく変えつつあります。その進化はこれからさらに加速していくでしょう。
今回はそんな、凄まじい速度で進化しているAIの今と未来、そして私たちはAIとどのように付き合っていけばいいのか、についてもう少し深掘りしていきます。
「来たるAIが人を超える時代を、有意義に過ごしたい」と感じている方は、ぜひお付き合いください。
AIコンテンツの今
AIは今や至るところに導入され便利なサービスを提供してくれていますが、その中で、筆者が今特に変化を肌で感じている用途は以下の3点です。
メディアコンテンツ
AIは文章やイラスト・動画・音楽などのメディアコンテンツの分野で浸透してきています。
大手メディアの記事のトップ画像にもAIイラストが使用されているものが多くなってきました。記事トップ画像は、その記事の内容を端的にビジュアルで伝える重要な役割を持っていて、今までは画像提供サイトからイメージにあった画像を入手するか、もしくは記事のイメージにあったイラストを1から描いてもらうかの大きく分けて2択でした。
それがAI技術の進歩によって選択肢と自由度が増えたのです。具体的には、自分の想像する記事イラストの特徴をキーワードとしてAIに入力するだけで、記事の内容を伝えるのにふさわしいイラストがほんの数秒で生成されるのです。これでトップ画像に使うイラストを画像提供サイトに探しに行くことも、イラストレーターに1から依頼することも必要なくなります。
しかし、AIによるメディアコンテンツ生成は「AIイラストである」とパッと見て分かるほどのクオリティーで、非AI作品、つまり人の手で作られた作品とはまだ距離があります。この「質の問題」に加えて、AIコンテンツは一瞬で無数に生成可能なので、AIイラストの量も爆発的に増えています。質も良くなく、供給量が多いAIイラストは価値が低い一方で、人の手で描かれた非AI作品は、AIイラストと対照的に価値は「現状は」保たれていると筆者は捉えています。この傾向は、イラスト以外の文章・動画・音楽なども同様です。
検索
知りたいことを検索するときの選択肢が変わりました。
今までは99%Google検索で知りたいことを調べていましたが、そこに生成AI、特にChatGPTを使う選択肢が生まれています。
どちらか片方だけを使うということはなく、知りたいことをキーワードで表せるならGoogle検索、キーワードで表せないような複雑なことを知りたい時はChatGPTというような使い分けです。
例えば、「筋トレ 継続」と疑問をキーワードで表せるならGoogle検索の方が早いです。しかし「人が筋トレしている動画を見ると、筋トレのモチベーションが上がり自分も筋トレをしたくなります。この心理効果には名前がついてる?またこの効果を活用する良い例をいくつか挙げて。」のような自分が知らないことを知りたい時は、キーワードで検索できないのでChatGPTを使う感じです。
このように、自分が知りたいことの名称や中身について詳しくなくても、文章で説明して答えに辿り着きやすくなったことは検索における生成AI・ChatGPTのメリットでしょう。
さらにChatGPTは対話形式で質問を繰り返せるため、返ってきた答えについてさらに詳しく疑問を深掘りすることができます。これは検索エンジンにはできない、私たちが知らないことへの理解の深めるサポートをする新しい形で、対話を繰り返しつつ自分の考えを整理することにもつながります。
検索を含む、知らないことを理解する取り組みにおいて、AIの貢献は凄まじいです。
相談役
自分が今持っている悩みを解決するために、今までは悩みをキーワードにしてGoogle検索を行い、自分の悩みと似たような記事を探して読むしかありませんでした。しかもそうして見つけた記事が自分の悩みと全く同じ状況とは限らず、そこで語られている解決策が自分の悩みを解決してくれるとも限りません。
しかし現在では、生成AIが悩みの相談役を担えるまでになりました。今までは友人や身内、専門家など信頼できる人にしか出来なかった、つまり対人でしか出来なかった「相談」が、対人でなくても出来るようになったのです。
ChatGPTを含む生成AIは会話のラリーができるため、記事のような一方的な情報の押しつけにならず、悩みの言語化を繰り返してキャッチボールすることで自分のケースに対応した解決法や行動の発見につながります。また生成AIとの対話を通して、実は自分自身も悩みについてよく理解できてなかったことに気づくかもしれません。対話を通じて悩みの輪郭を明確にしていく、この「悩みの明確化」というプロセス自体にも生成AIの相談役としての大きな価値があると考えます。
対人以外で相談できる選択肢が出てきたのは紛れもなく大きな変化です。むしろ対人でないからこそ相手に気を使わず、何でも言える、自分のペースで悩みに向き合える、そんな利点があるかもしれません。
AIコンテンツのこれから
ChatGPTが初公開されたのは2022年11月。この記事を書いている今(2024年12月)に至るまでのわずか2年ほどで、今までのサービスの根底を覆す大変革が起こりました。それほどにAIの進化は早すぎます。この早すぎる進化は今後数年も続くでしょう。
では近い将来、AIの進化によってどのような変化がもたらされるでしょうか?
作品の飽和
まず、世の中に存在する作品の飽和が加速します。
現状、AI作品はイラスト・動画・音楽どのジャンルでも「AIで作られたもの」の枠を超えてません。これはAIで作ったものだなと見分けがつくレベルです。最先端ではすでに見分けがつかないレベルに近い所まで来てますが、一般の方が目にする範囲ではまだ低クオリティです。
しかし、進化速度自体が進化しているAI技術は、そう遠くないうちに非AI作品と区別がつかないほどの作品を大量に作れるようになるでしょう。
この進化によって起こることは、まず非AI作品と遜色ない動画、画像、音声コンテンツが爆発的に増えることが容易に想定できます。すると、非AI作品は同クオリティのAI作品に囲まれるため、相対的に価値が下がるかもしれません。一般的にアニメや漫画などのコンテンツは、イラストタッチや話の面白さに価値の重心が傾きやすく、その作品の作者に価値を置いている人は少ないでしょう。となると、作者による差別化が図れない作品は、AI作品に埋もれやすくなる、作品が飽和する現象が起こると予測されます。
選択肢が多すぎるため、「どれを見るべきか」「どれを選ぶべきか」と見る作品を選ぶこと自体も難しくなっていくでしょう。
選ぶのが面倒な方は、ランキングやおすすめを参考にすることが多くなりやすいため、AIのおすすめ機能に対する依存度がさらに高まります。これはつまりAIによって見る作品を決められるようになるということです。ちょっと怖くないですか?AIに自分の選択を決められるって。
多くの優れたコンテンツが溢れかえる中で、本当に価値のあるものを見極める力、吟味して自分にとって必要なものを自分で決める、選ぶ力の重要性がより高まってくるでしょう。
正答力から問題提起力へのシフト
AIの進化により、問題への正答力よりも、その問題を見つけ定義する力、問題提起力が重視されるようになっていくでしょう。
AIは、答えがある問題への正答力が進化し続けています。AIモデルは、何兆というパラメーターから作られ、学習データを元に質問に対してふさわしい答えを返します。途方もない知識量を保持して、最適な回答を導き出すのです。しかもパラメーター量や知識量は増え続けています。つまり答えがある問題については、自分で考えるよりもAIに聞いた方が早い段階にすでにきているのです。
そしてついにAIは「考える力」を手にしました。
2024年9月に公開された「Open AI o1」というAIモデルは、今までのGPT-4モデルと異なる仕組みで、「推論」を積み重ねて考える力を手にしたようです。o1は、単に知っているだけで良い問題ではなく、知識を活用して考える必要のある複雑な問題に対して、正しい答えを導き出すことができます。一般人では到底解けない博士号クラスの問題の正答率も専門家のスコアを超えたようです。
考える力を持つAIは最先端技術のためまだ広く普及していません。しかし、この技術が一般社会に導入されたとき、私たちの周りで起きる変化としてまず考えられるのは、私たちは答えを出すことをAIに任せるようになるということです。
なぜなら次世代AIは、私たちよりも早く、より良い正解を導き出してくれるようになっているからです。答えを出してくれる存在がいる世界で私たちが次にすることは、答えを出してほしい問題を見つけること、つまり問題提起にシフトしていくと筆者は考えます。自分が実現したい未来を思い描く、解決したい問題を発見する、そんな問題提起力が重要になっていくでしょう。
エージェント
AIは今後、単なる質問応答や生成ツールとしての役割を超え、私たちの課題に対して仮説を立て、推論し、行動する「エージェント」として進化していくでしょう。
AIエージェントは、例えばビジネス面では、スケジュール管理・報告・調整など、仕事のオペレーション全体を管理する秘書のような存在になるかもしれません。そして、プライベートでは、バイタル・メンタルヘルスを土台に個人的充足を後押しするAIエージェントが相棒になる未来が予測できます。さらに、このようなAIエージェントを調整・管理する「エージェントモデレーター」といった今までにない新しい職業が多く生まれていくでしょう。そしてこの新しい職業を見出す力が問題提起力であり、次のチャンスが生まれる場所となるでしょう。
AIの活用範囲が一段と広がり、社会のあらゆる場面でAIがより深く関与する未来がもうすぐそこです。
人に残された生き方と意義
AIの進化によって日常生活の多くの部分が取って代わられると、私たちの価値観も大きく変わることが予想できます。例えば、今まで人の手で管理してきた生産活動がAIに置き換えられたとき、私たちは何に意義を見出していけば良いのでしょうか?今まで長く携わってきたことが「しなくてもよくなった」とき、私たちはどのように生きていけば良いのでしょうか?
AIに脳を支配されないために
これまで人の手でしかできなかったことがAIによってどんどん代替され、私たちは生活していく上でしなくてはいけなかったことを「しなくてもよい」選択肢が増えてきます。そうなるとどうなるか?考えられる変化は色々ありますが、最も厄介な変化の一つに「面倒への耐性が下がる」ことがあるでしょう。
私たちは普段、そこに意義を感じるなら面倒を感じながらも取り組んでいることが少なからずあります。それは運動だったり、早寝早起きだったり、もっと別のことだったりするかもしれません。しかしAI技術による自動化が進むと面倒な雑事はほとんど自分でしなくなり、自分にとって楽な選択肢を取りやすくなります。自分がやってもAIがやっても変わらないことならそれで良いのかもしれませんが、自分にしかできないことなら話は別です。
AIがどんなに進化しても、あなたにしかできないことに取って代わることはできないのです。先に挙げた運動や早寝早起き、自分じゃないとダメなこと、例えば自分の子供とのコミュニケーションなどはいくらAIが発達したからといって、サポートはすれどあなた自身の行動に取って代わることはできません。
楽な選択肢を取りやすくなった未来では、AIが取って代わることのできない面倒なことをしなくなる、面倒なことへの耐性が下がることが起こり得ます。AIが普及した環境になったとき、その環境に自分が慣らされるのではなく、自分がAIを利用する姿勢とスキルを身につけていきましょう。
おすすめを消費するだけの人生にしない
私たちは今やサービスの提供する「おすすめ」に自分の選択を決められつつあります。SNS、映画、本、音楽、アニメ、漫画、ゲーム、旅行、服、日用品の購入まで、あらゆる「おすすめ」を消費して生きています。
おすすめに生きるということは、やもすればAIに自分の選択を支配されるということです。特にこの傾向はコンテンツの世界で顕著になることが予想されます。
先に挙げたように、AIは人の手で作られたものと遜色ない作品を作れるようになっていきます。そうするとコンテンツの飽和が起き、見るコンテンツを自分で選択すること自体難易度が高くなっていきます。となると、私たちが頼るのはおすすめ機能でしょう。
無数に増え続けるコンテンツをお勧めされるままに見続けるとどうなるでしょうか?予測される顛末は、SNSなどのショート動画のようになってしまうことです。ショート動画は気になったものを一度開くと、そのショート動画を見終わったら勝手に次のショート動画が再生されます。新しい動画が次々と流れて、大して面白いと感じてなくても延々と見てしまいます。コンテンツを楽しんでるのではなく、コンテンツを見させられている状態です。これと同じ現象が他コンテンツの世界でも起こるでしょう。
コンテンツを見させられる状態になり、楽しくないコンテンツをダラダラと見続けてしまう。結果として「無駄な時間を過ごした…」と倦怠感や虚無感を感じることになり、こんな状態は望ましい状態ではないでしょう。少なくともその日を振り返って「今日もいい日だった」と感じることはないと思います。
コンテンツを楽しむ時間が必要ないとは言いません。むしろリフレッシュの方法の一つとして間違いなく効果があります。回避すべきはコンテンツを見させられている状態です。そしてAIの進化はこの見させられている状態を促してくることが予想されます。供給過多に傾いていくコンテンツの世界を、おすすめに流されず主体的な選択をもって泳いでいきましょう。
あなたを生きる
AIがどんなに進化しても満足を感じるのはAIではなく、あなたです。これも、どれだけAIが進化しても変わらないことの一つです。つまり、あなたが今日に満足するためのツールとして、AIを扱き使うスキルを身につけることが重要なのです。進む方向はあなたが決めるもの。その方向を決める相棒としてAIを使うことは良い使い方といえます。
しなくて良いことが増えていく中で、自分は何をするか、「意義」を感じるものを見つける力が、今日に満足して生きていくために必要になってくるでしょう。そして、実際にする前から意義を感じられるものはありません。全ては実際に取り組んでみないと分からないものです。
つまり、新しいことに一歩踏み出す習慣を身につけること、それが、来たるAI時代の中であなたが今日に満足して生きる原動力となり得ます。AIに考動を支配されず、今日を生きる「意義」を見出すため、新しい一歩を踏み出す習慣を身につけていきましょう。
まとめ
AI技術の進化は加速度的に前進していて、今まで人間だけが持っていた思考・考察・発想・判断する力に追いつき、追い越す勢いです。AIが人間の能力を越えようとしている今、私たちはより一層自分の幸福と意義について改めて考え直す必要に迫られるでしょう。
人間の幸福について、絶対的な定義は未だ成されていませんが、身体に必要な主要栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)と同じように、幸せに必要な主要栄養素が提唱されています。
これら3要素を満たすことが、来たるAI時代を幸福に生きていくための私たちに課されたミッションでしょう。
AIに使われるのではなく、AIを共に生きていく相棒として、自分だけの選択と価値観を磨いていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。